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元来、魚津という土地は知的生産の盛んな土地柄であり、その代表として「魚津の三太郎博士」が挙げられます。現在の魚津にも高い技術力をもつ中小企業が存在します。このブログは、それを広く感じてもらうために開設しました。

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魚津印刷を訪問しました

印刷物のいろんな「あっ」に応える

魚津印刷を訪問しましたDSC_0025_3.jpg   

八木 洋 代表取締役(左)・八木 擴道 専務取締役(右)

 

会社の設立と当初の印刷について教えてください

昭和3612月に会社を設立しました。設立当初から自治体の広報をはじめ、印刷物全般を扱っていました。

最初は活版印刷という手法を使って印刷していました。これは活字(凸型の字型)を拾い(原稿に即したものを選び)、それを組んで、インクを付けて印刷するというものです。ひらがな、漢字のみならず空きのスペースも含め、原稿を見ながら活字を一字一字拾って、組み合わせる作業を文選・植字といいますが、その作業で版を作るのです。活字は同じ文字、同じ大きさで何十個とありますし、それが例えば漢字も含めると何千種類とあるわけです。しかも文字の大きさを変えるためには、色々な大きさの活字を揃えていなければなりません。当時、印刷は特殊な技術で、活字を拾う職人が何人もいたものです。棚に並べられた膨大な活字の中で、どこに何の活字があるかを覚えて、取り出したら今度はそれを元に戻さなければならない。ものすごい手間ですよ。伝票の表の版を作る場合などは、罫線なども細かい活字で表現するので、特に大変でしたね。活字を拾うことに関して1人前になるには、5,6年かかったものです。

当時は、文章1ページ分の活字を拾うにしても何時間とかかっていました。それから校正の段階に入るのですが、活字の入れ間違いの確認も必要になりますので、今よりはるかにチェックが大変でした。しかし、活版印刷が主流から外れた後も、活字の見た目がきれいだと言って活版印刷を望む人もいました。今はほとんど注文がなくなりましたが、例えば名刺などは暖かみが伝わると言って活字のほうが好まれる場合もあります。

活字
活版印刷用活字

 

その後の印刷技術の推移について教えてください

この後徐々に変わっていくのですが、活版印刷の凸版に対して平版になっていきます。平版になったのは昭和40年代半ば頃からでしょうか。平版は、水と油の特性を利用する印刷方法です。画線部・非画線部を、それぞれ油性であるインクが乗りやすい成分と、水の乗りやすい成分に分けて処理し、まず水をつけるローラーが走り、次にインクローラーが走ることで、インクが画線部に付着し、非画線部には水と油の反発作用によりインクが付着しないという原理です。そして1回ゴムに転写させて、そのあとゴムに転写したインクを紙に転写させるというわけです。

版下を作る手法も、和文タイプから始まり、写真植字(以下写植)を経て、それから現在のようなコンピューターによる電子組版方式に移り変わってきました。

 写植というのは、黒いガラスの文字板で、文字のところだけ白抜きしているものに下から光を当て、レンズを通して印画紙に焼き付けるという手法です。この手法だと、レンズを変えることによって、文字の大きさを変えられますので、和文タイプに比べて利便性があったのです。

 DSC_0046_2.jpg
オフセット印刷機

 

タイプ、写植から、大きく流れが変わるきっかけとなったのはワープロの出現です。私(専務)がここで働き始めて30年になりますが、入社当初はタイプと写植が主流でした。ワープロが主流になったのは20年前くらいでしょうか。一般向けにワープロの販売が始まると、差別化のため、我々の印刷は、ワープロよりもきれいなものにしなければなりません。また、当時主流だった写植では、書式を変える際にガラス板の入れ替えをしていましたが、当時はガラス板1枚あたり20万円だったので、我々としてはなかなか文字の種類を揃えられませんでした。それに対してワープロはいろんな書体がありました。そうした現状をふまえ、よりきれいな印刷にすべく、細かいドット数のワープロと、レーザーを使って印画紙に焼きつける機械を揃えようとすると、多額の費用がかかりました。その上、書体も揃えるにも、1種類20万円というソフトを買ってインストールしなければなりませんでした。当時は、きれいな印刷のためには2,000万円もの設備を要するといった状況でした。

ワープロが出現してから、プリントはどんどんきれいになり、書体の種類も豊富になっていきました。そして、レーザープリンタがでてくるときれいにプリントできるのがあたりまえの時代になりました。そうなると、直接、版にレーザーで焼きつけるようになり、フィルム作成や印画紙作成といった工程がなくなりました。しかし、版の出力機にはまた1,000万円の設備投資が必要になるわけです。

無題
版(シルバーデジプレート)と出力機(CTP)

 

結局のところ、設備が減価償却しないうちに技術やユーザーの進化が進んでいくのです。プリンタも昔はモノクロでしたが今はカラーが当たり前です。カラーは4色の重ね合わせで色を表現しますが、昔はカラーを4色に分けるために、スキャナーと言って、ドラムに写真を貼り付けたものを高速回転させ、細かいカメラで読み、そして4色に分けたフィルムにしていました。それが製版と言う作業ですが、そのスキャナーにいたっては、30年前当時、1台あたり億という値段でした。当時のカラー印刷は、そうやってフィルムを作るためにカラーを分解していたのです。昔は各印刷屋でそれだけの設備投資ができないので、写真製版の専門企業がありました。

カラーを表現するためには、200分の1インチの点の集合で表現した、4枚のフィルムを正確に合致させるのですが、これが少しでもずれると全然違う色になってしまいます。ルーペをのぞきながら全部きちんと合わせて、4つの版を作って版に焼き付け、その版も100分の1ミリ単位で合わせます。そして100分の1ミリで合わせたものを1時間に1万2千回転させるので、狂いが生じないために、ものすごく高い精度を持った印刷機が必要になるのです。

印刷機3
4色印刷機

 

これからも技術は進歩していくのでしょうか

今後、技術革新ほどの大きな変化はなかなかないと思いますが、技術の進歩という意味ではこれからも進んでいくでしょう。現在はすでにカラーコピーが印刷屋のレベルに達しており、拡大してみても、どちらが印刷で、どちらがコピーか分からないくらいに、きれいな仕上がりになっています。ただ、カラーコピーは数が少なければよいですが、量が1万枚などになると、印刷でないと時間がかかりすぎてしまいます。このように今は部数によって使い分ける時代になっています。しかし、カラーコピーが今後ますます高速化して、よりきれいになっていくと、今まで印刷屋に頼んでいた仕事を今度は自分たちでやろうということになるでしょう。実際、ただ印刷するだけという仕事はどんどん減っています。

 

技術進歩など、とりまく環境の変化に対しどのように対応していますか

元来印刷業というのは、顧客を手助けし、情報を残し伝えるという役割を担っています。情報を残し伝える部分を、ホームページ作成という分野に見出すことも検討しましたが、その分野は技術進歩のスピードが速いので、難しいと判断しました。これからは提案型、企画型の仕事を目指しています。例えば、顧客がイベントをやる場合にチラシや看板の作成まで手がけたり、イベントの中で粗品を渡す企画を提案したりもしています。困ったことがあれば、魚津印刷に頼めばなんとかなると思ってもらいたい。そのために、営業担当には色々なところで積極的に話をしてくるように言っています。

大きな設備投資をすれば、より多くの仕事をこなさないといけません。しかし、印刷の注文自体が減少傾向なので、客の取り合い、潰し合いになります。その場合、設備に多額の資金をかけ、大量生産に対応した大手印刷企業が有利となります。一方で、地元企業にはなかなか設備に資金をかけられない企業が多いのです。カラーの印刷機は、両面同時印刷などになると3億、4億もの費用が必要になりますので。印刷は元々地域に根ざした職業です。今の社会では仕方がない面もありますが、できることなら地元企業を頼りにしていかないと、印刷業をはじめとした地域性の強い産業は衰退してしまいます。

環境対応を売りにするという企業も増えてきていますが、環境に本格的に取り組むには、それなりのものを費やさないといけません。今の企業はなかなか利益が出せない中で、環境に取り組むのは厳しい現状もあります。これは私の個人的意見ですが、企業が元気になるためには、まず社員を元気にするために、今やるべきはどういうことか、という考え方が必要だと思います。

今後求められる人材を教えてください

挨拶や時間を守るなど、基本的なことがまずはきっちりできることですね。技術的なことは入社してからも十分学べます。礼儀は、本当は家庭内の領分なのでしょうが、なかなか言っても身につくものではありません。

やはり一番の経費は人件費ということと、機械化が進んだ面もあり、なかなか新規採用は難しいのですが、わが社は人の出入りが少なく、入社してから定年まで勤めあげる人が多い会社です。

 

社員の方にお話を伺いました

轡田さん2
デザイン担当 轡田 崇広さん

 

仕事の内容を教えてください

デザインの考案から、写真の修正・色の補正、それをもとに機械に読み込むためのデータ変換までを担当しています。

現在の仕事に至るまでを教えてください

専門学校でデザインを勉強してきましたし、デザインが好きなのでデザイン関係の仕事に就きたいと思っていました。この会社に勤めてもうすぐ16年になります。

仕事のやりがいを教えてください

デザインを考えるにあたっては、顧客とのやりとりの中で、顧客の持っているイメージの具現化を目指すのですが、実際には顧客のイメージと作ったデザインとを合致させるのは難しいです。その分それがピタリと合ったらうれしいのですが。自分が良いと思ったデザインでも、顧客からすればそれはだめだということもあります。ですが顧客はそのデザインを活かして仕事をするわけですから、顧客の仕事を自分が手助けするという視点に立たなければなりません。自分が顧客の場合だったらどんなデザインがいいのか考えながら、デザインを検討していきます。難しいことですがそれが面白いところでもあります。顧客と直接話をすることが、自分の仕事の一番いいところだと思います。直に話をする事が多い分、直に怒られることもありますが。

苦労することはありますか

印刷会社なので、残業などが多くて大変だという先入観は最初からありましたが、納期の関係で仕事が立て込み、忙しいときはあります。あとは機械のトラブルで機械に振り回されることもあります。

失敗談などあれば教えてください

カレンダーを作ったとき、去年のデータをそのまま使っていると、「2月1日」が2つあることになってしまいました。双方でチェックしたはずなのですが。幸いその時苦情などはありませんでした。

今後デザインの重要性が増す中で、どんなことに気をつけていますか

業界内での競争は激しくなっておりこれから先どうなるか不安はあります。このままではいけないと思っていますが、明確に何をしていいのかは分からないので、色々試行錯誤の連続です。例えば家に帰っても、どこかで何かの役に立つと思って、アニメなどを見ながら、練習がてら机の上でイラストを描いたりもします。また、書店に行ってソフトウェア関係やDTP(デスクトップパブリッシング:卓上印刷)関係の本を読んだりすることも多いですね。ただコンピューター技術を高めたとして、それをどう活かせば仕事の幅が広がるのか、どう商売につながるのか、という意味では難しいところでもあります。

 他にも、色々な刺激を受けて感性を養うという観点から、旅行などに出かけてその雰囲気に触れるようにしたり、今までと全然違った分野に積極的に挑戦するよう努めています。過去には、映画の撮影にエキストラとして参加したことがありますし、演劇をやったりもしています。あとは地区の体育振興会に参加しています。それまで体育には全く興味がなかったのですが、地区に若手がいないので、体育関係の役をやるようになりました。それがきっかけで、自転車(ロードバイク)やランニングを日課にするようになり、今ではマラソンの大会にも出場しています。

こういった活動を通じて、職場以外のいろいろなところで、仕事のやり方を学ぶこともあります。

 

魚津への思いがあれば教えてください

これからの観光には女性の目をひくようなものが必要だと思います。例えば、海の駅などに美容にいいもの、深層水やコラーゲンなど女性が好むものも置いたらよいのではないでしょうか。また、近年はパワースポットがブームなので、蛇石など活用できるのではないかと思います。そのほか、ペットブームでもありますので、犬を連れやすい公園が望まれます。例えば富岩運河環水公園にはペット連れ込み可の喫茶店があります。あわせて、散歩やジョギング、サイクリングなどがしやすいような、憩いの場として整備された公園があればよいと思います。最近はのんびりできるところが人気なので。

編集後記
 
我々にとって、印刷物はとても身近でありふれた存在であり、パソコンやカラーレーザープリンタが当たり前の今日では、印刷の工程は割合簡単なものと思い込んでいました。しかし今回の取材で、印刷は今も昔も特殊な技術であったことを知り大変驚きました。カラーコピーの発達が著しい昨今ですが、印刷物の美しさや効率性の面ではもちろん、顧客からの信頼性の面においても、印刷がカラーコピーの一歩先を走り続けることを願っています。


魚津印刷ホームページ
www.nice-tv.jp/~upc/index.html

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プロフィール

uozusantaro

Author:uozusantaro
富山県魚津市の企業・産業を知ってもらいたいと感じている市職員グループです。

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