元来、魚津という土地は知的生産の盛んな土地柄であり、その代表として「魚津の三太郎博士」が挙げられます。現在の魚津にも高い技術力をもつ中小企業が存在します。このブログは、それを広く感じてもらうために開設しました。

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日本酒製造の本江酒造(ほんごうしゅぞう)を訪問しました

日本酒製造の本江酒造(ほんごうしゅぞう)を訪問しました。

本江酒造看板 

取締役の宮内浩行氏にお話を伺いました。

 

 

製品の紹介をお願いします。

現在、当社では「北洋」「越中懐古」が主力商品となっています。元々、大正14年に創業した当時は「北洋」のみを製造していたのですが、昭和50年代に純米酒を商品化した際に、お客様のご指摘もあって、「越中懐古」と名づけ、別商品にしました。ですから、「北洋」のうちで純米のものが「越中懐古」と考えていただいてよいと思います。純米酒は味が“ごつく”なると言われています。骨太と言うか。

北洋           越中懐古                  袋吊

吟醸 北洋            純米大吟醸 越中懐古      北洋大吟醸 袋吊

 

会社の歴史について教えてください

大正14年に創業したのですが、農家から出資を募り、株式会社として始めました。当初から本江酒造の名で始めました。

 

それは地域貢献の思いもあったのでしょうか

そうですね。当時は、農家の冬期間の就職先にもなっていたと思います。

 

この魚津で創業された理由は

もちろん、故郷ということもありましたが、やはり水は重要です。全国的にも、いい水が有る所に酒造メーカーができているように、魚津であったからできたとも言えますね。

 

販売の方針について教えて下さい

富山県民は地元のお酒を飲む方が多く、主にうちの商品は県内向けになっています。当然と言えば当然なのですが、地元のお客さんに愛されることが酒造メーカーの基本だと思います。また、お酒は地元の料理に合うように作るものなんですよ。

 

「北洋」は“ほくよう”と“きたなだ”、どちらが正しい呼び名なんでしょうか。

結論から言うとどちらも正しいですね。北洋鮭鱒船団にあやかって名づけました。元々は“きたなだ”と呼んでいたんですが、戦後、いつしか“ほくよう”と呼ばれるようになりました。今でも“きたなだ”とおっしゃる方がいます。どちらで呼んでいただいても結構ですよ(笑)。

 

酒の特徴について教えてください

当社が製造しているのは、辛口の酒です。富山県内の酒は昔から辛口です。これは辛口の酒が富山の食べ物に合うということが言えると思います。その他にも使用する水が硬水の場合は男酒(灘など)、軟水の場合は女酒(伏見など)という分け方もあります。

 

生酒について教えてください

通常の酒は2度の加熱殺菌をします。一般にそれ以外のものを生酒と言います。つまり1度だけの加熱であれば生酒と言っていいんですね。生貯蔵酒や生詰め酒は1度だけ加熱したものです。しかし、当社では1度も加熱していないものだけを生酒としています。ですから当然のことですが、冷蔵庫で保管が必要になります。この加熱する製法は江戸時代には確立していました。また、炭でろ過する製法は室町時代には確立していたと言われています。

 

おすすめの肴などありますか

基本的に魚津の食べ物に合うので、なんでもおすすめですが(笑)。

変わった肴としては、純米酒は、ブリータイプのチーズ、クラッカー、干しいちじくも合いますね。吟醸酒はふきみそや山菜など。また、生イカを焼いて裂いたものを、酒:醤油(1:1)に漬けるとご飯にとてもよく合います。一度、試してみてください。

 

酒造のスケジュールについて教えてください

うちの場合は、11月中旬から道具などの準備を始め、12月2週目くらいから仕込みを始めます。2月10日頃最後の蒸米をして3月初旬に最後のしぼりをします。

 

3ヶ月間なんですね

そうですね。他のメーカーでは2ヶ月ほど早く造り始めるところもありますが。“新酒”を早く出荷するとお客さんに喜ばれますからね。

 

酒づくりにたずさわる方や構成について教えてください

酒づくりをする人というと、皆さんは杜氏(とうじ)を想像されるかもしれません。杜氏は蔵に一人だけいます。つまり杜氏は酒づくりにおける棟梁のことです。その他にもいろいろな役割でたくさんの人がたずさわりますが、それは蔵人(くらびと)と呼ばれる人たちです。杜氏が酒づくりの判断をしますが、それはカンではなく、あくまでも温度などのデータに基づいて判断します。もちろん経験による判断も存在しますがあくまでもデータ重視です。うちは越後杜氏に来てもらっています。杜氏には、越後杜氏のほかに能登杜氏や丹波杜氏などがあります。

しかし、杜氏も後継者不足で深刻な状況があります。昔は、農家など冬期間の就職先であったのですが、兼業農家が増えたことなどが原因といわれています。かつては、男性は蔵人で女性は賄い役、子どもは子守などと役割分担をして、村単位で来ていたそうです。


蒸米            蒸米ほぐし

 蒸し上がった米                                     蒸米をほぐす作業        

 

酒づくりで工夫されていることを教えてください

酒は酵母の活動によってできあがります。この酵母は高温であれば活動が活発になってすぐに発酵してしまいます。それでは香りが醸成されない。そこで、低温でなるべく発酵させないようにし、できるだけ時間をかけるという“吟醸造り”をします。それによって酔うためのアルコールのほかに香りの成分であるアルコールも発生するのです。しかし、低温すぎると発酵が止まってしまいます。これは、外気温の影響も受けますからバランスが難しいですね。寒い地域になると暖気樽(ダキダル)をもろみの中に入れて暖め、最低限の発酵を促すように作ります。暖かい地域では建物全体に冷房をかけて発酵を抑制します。

酵母は、日本醸造協会が出荷している協会酵母を100%使用しています。

 

 袋吊工程       原酒

袋吊                                          搾った直後の原酒         

 

今後はどのように

「名誉北洋」が平成21酒造年度全国新酒鑑評会(平成22年に実施)で金賞を受賞しました。これは3年連続のことです。

また、今年秋から全日空の国内国際線のビジネスクラスに特別純米「越中懐古」が提供されることが決まりました。

日本酒の製造は日本の伝統産業です。これを食文化として守っていこうと考えています。これからも、地元の食材にあった酒を作っていきたいと考えています。

そこで、辛口ばかりではおもしろくないので、甘口の無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)を試しに作りました。大変好評でした。最初は冬期限定から通年で販売することになりました。

 

これからの魚津についてお考えをお聞かせください

もっと人口が多いと良いなあと思います。人口規模がある程度あると活動など活発に行われますからね。楽しいだろうなあと思います。あとは、子供たちが芸術作品や製品など本物と言われるものに触れる機会があると良いと思います。

 

 

編集後記

 今回、日本酒製造の現場を見た動機として、魚津は水資源の豊かな地域であると言われていることがありました。以前に取材したオーアイ工業はレッグウエアの染色に水を利用し、魚津に立地している理由がわかりました。
 一方、今回の本江酒造は、原料の水そのものが人の体に入るということで、より魚津の豊富な水資源に裏打ちされた産業であると思います。ブランド展開や新製品の開発など、“楽しみ”ながら伝統を守っていると感じました。

「無濾過生原酒」を飲んでみましたが、甘くて変わった味わいでおいしかったです。でも、自分は辛口のほうが好きです。(すみません)

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Author:uozusantaro
富山県魚津市の企業・産業を知ってもらいたいと感じている市職員グループです。

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