元来、魚津という土地は知的生産の盛んな土地柄であり、その代表として「魚津の三太郎博士」が挙げられます。現在の魚津にも高い技術力をもつ中小企業が存在します。このブログは、それを広く感じてもらうために開設しました。

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魚津漁業協同組合を訪問しました

魚津漁業協同組合を訪問しました

浜住参事       

浜住博之 魚津漁業協同組合参事

 

漁業協同組合とはどんな組織なのでしょうか

簡単に説明すると、漁師が集まった組合が漁協です。農家が集まった組合を農協といいますが、それと同じです。漁師の皆さんへの必要な物資の供給や、水産物卸売市場の運営をしたり、水産加工物の販売などを行っています。

 

魚津は“魚のまち”と言われますが

私が漁協に採用されたのが昭和54年。今から30年ほど前のことです。

その頃は、日本の経済成長にあわせ、魚の価格も右肩上がりで、魚は獲るだけでよいものでした。自分たちが獲った魚がどこへ運ばれ、どういった人たちの口に入っているのか意識することなく、経営が成り立っていました。もちろん今は、そんなやり方では成立しないわけですが。

 

流通形態が変化したと

変化があったのは、アメリカ発のスーパーマーケットなどがドンドン建設され始めたころでしょうか。往来の魚屋の場合ならば、その日獲れた魚を並べて鮮度だけで売っていましたが、スーパーマーケットではそうはいきません。大きな店舗で売り出すには、魚の大きさが均一であったり、量がある程度必要になります。こういった要件を「4定条件(よんていじょうけん)」とよぶのですが、魚の質(規格)・量・価格・時間を意識しなければいけなくなりました。今でこそ、「サンマ1尾100円」とスーパーマーケットのチラシに当たり前のように売り出されていますが、これも4定条件を満たしているからこそ実現できることです。

また、この頃から、海外の安い魚が輸入され始めます。これは、4定条件を満たすための魚を海外に求めたことと、輸出大国であった日本が輸入量を調節しなければならなかったという貿易上の関係からです。大量に、そして安く輸入される外国産に、国内漁業も大きな変革を求められるようになりました。

 

現在抱えている問題などを教えてください

近年、漁獲量も減少しています。これには、獲り過ぎとか、自然環境の変化、海洋汚染などの理由があるのかもしれません。環境保全なども意識する必要がでてきています。

また、日本は長寿の国として世界的に有名となっていますが、その一因ともいえる魚食文化が外国にも意識されるようになりました。欧米でも肉だけでなく、寿司ブームなどを始めとして、魚を多く食べるようになってきているのはご存知のことと思います。そしてさらに、新興国と呼ばれる中国やロシアなどの国々の富裕層もよく魚を食べるようになってきました。

このため、今までのように、たやすく魚が輸入できなくなってきています。いわゆる「買い負け」ですね。こうなると、魚の価格は上がりますし、国内の消費量は減って、一層魚離れが進むかもしれません。

日本では、円高やデフレなどの問題も抱えていますが、こういった状況にどう立ち向かうべきなのか、常に考えていく必要があります。

 

このような時代の流れの中で現在取り組んでいることは

今、魚津漁協がやろうとしていることを一言で説明するなら「ブランド力をつける」・「食べやすく美味しい魚を届ける」といったことです。

魚食文化の良さをちゃんと伝え、消費者に振り向いてもらうこととも言えるかもしれません。

国産の鮮度の良さを感じてもらうために、われわれは何ができるのか。それを常に考えています。

 

魚津の各地区を対象に取り組んでいることがあると聞きましたが

 魚津市内の各地区を対象にしている体験ツアーのことですね。実際には、競りを見てもらって、そのあと朝ごはんを食べてもらうというものです。そこにはもちろん魚津の新鮮な魚も並んでいます。そして、魚津産の米も提供しています。漁業と農業の連携、タイアップですね。こういったイベントを通して、鮮度のよい地元産のすばらしさを感じてほしいと思っています。

 

コンビニでの販売なども行っていますね

 そうですね。今では、数種類の商品を取り扱ってもらっています。その最初の商品は「ほたるいかの素干し」です。この商品はこれまでも魚津で作られていたものですが、コンビニ用として、ほたるいかを地元産に限定し、少量で袋詰めするといった改良を加えた上で、コンビニに提案しました。

県内のコンビニの店長会議へ出席させてもらったのですが、実は、本格的なプレゼンはこれが最初。本当に緊張したのを今でも覚えています。その後、店頭販売が決定。「生産者名 魚津漁協」と袋に書かれた表示シールがついた製品がコンビニの店頭に並んだ瞬間、とても感慨深かったのを今でも覚えています。

幸運なことに、全国放送のテレビで取り上げられ、大反響の商品となりました。

ほたるいか素干し   

ほたるいか素干し

 

自分たちでモノを売ることで気がついたことなどはありましたか。

 消費者の「声」が聞こえてきたことでしょうか。

これまでは、獲るだけ獲って、売るのは専門業者に任せきりだったんです。だから消費者の声は専門業者には届いていても、我々には届いてこなかった。それが、自分たちで売るとなると、聞こえてくるようになりました。「旨い⇔不味い、安い⇔高い」など、消費者の声が少しずつ聞こえてくるようになってきたんです。

 モノを売り始めるようになって、もう一つ気がついたのは、自分たちへの評価です。正直、これまでは自分たちのことを過小評価していました。でもメーカーなどは漁協をそんなイメージでは見ていない。むしろ、好印象のイメージで見てくれていました。漁協は、国産の新鮮で安全な魚を堅実に提供してくれている組織というイメージです。

 

そのような組織への信頼を裏切らないことが必要ですよね

そうです、皆さんが感じている信頼と現実にギャップが生じないようにしないといけません。食品の衛生管理といった部分でいえば、例えば地べたで魚を売ったりしていたらいけない。自分たちのレベルアップが必要だと改めて気がつくようになりました。

そうして出来たのがおさかなランドです。高度な衛生管理施設が生まれてきたのはこうした流れの中でのことでした。

おさかなランド   

おさかなランド。正式名称は「高度衛生管理型水産物荷さばき施設」。

 

 ただし、我々が動くということは、もしかしたら、既存業者への脅威となりうるかもしれません。だとすると、既存業者へ配慮もしつつ、独自の差別化が必要となってくるわけです。そこで出たのが、メジャーになるという方向性。大手のデパートや生協などを相手にしてみるということでした。これはコストがかかるのがネックですが、今では都市部の有名デパートや大手生協でも漁協の製品を取り扱ってくれるようになっています。

 

冬の代名詞として定着してきているウマヅラハギについて教えてください

 ウマヅラハギというと、漁師の中では「氷のいらない魚」なんていわれていた魚です。ウマヅラハギは獲った後、船の上に放置しても大丈夫だろうといったのが我々の常識でした。しかし、刺し身で食べることもあるこの魚がこのままでいいのかと。そこで、漁師に氷を使ってほしいと話をすることにしました。漁師も最初は半信半疑でしたが、その後、消費者がちゃんと評価してくれました。そうして、漁師たちも氷を使ったほうがいいということをちゃんと理解し始めます。これも、消費者の声が聞こえるからこそ実現できることですよね。

 このほかにも、いろいろな取り組みを行っていますが、消費者の生の声を聞くことができたからこそ、実現できたことがたくさんあります。漁師側も意識がだいぶ変わったと思いますね。

給食   

魚津漁協ではこの他にも給食センターと共同で市内小学校の給食でウマヅラハギを使った料理などを提供しています。「子供たちが食べてくれれば、その親も食べてくれるはずですから」と浜住参事。

 

求める人材などについて教えてください

 思い切ってよそ者を入れるということが重要であると、最近感じています。

よそ者であれば、しがらみが少ないので、いろんなことにチャレンジできますから。

 しがらみがあると、前例にとらわれて行動してしまいます。よそ者を採用して、刺激的に新しいことをやってもらうほうがよいのかもしれません。

街づくりは「若者、よそ者、ばか者」が行うといいなんていわれていますが、漁協にとっても、新しい感覚を取り入れるためにもこういった人材が必要だと感じています。

我々としても、少子高齢化などが進んでいる中での消費の低迷、担い手(人材)確保のために、もうかる漁業を目指す必要がありますね。若者たちが漁業に興味を持ってもらうためにも。

 

今後はどのような取り組みを

最近、野菜の直売所が増えてきていますよね。

もともとは、農家から市場(農協含む)、市場からスーパー、スーパーから消費者といった形で届いていた野菜を、農家から直接消費者に届くようにしたのが直売所です。それが、増えてきているというのは、時間やコストのロスがなくなるということ、そして、なによりも鮮度が今までと段違いであることに消費者が気づき始めているからなのだと思います。こういった直売所の漁業版ができないものか検討中です。魚をそのまま売ったり、加工して売るだけでなく、地元に来てもらって地元で食べてもらうという商品を打ち出せたらなとも考えています。そうすれば、輸送コストもかかりませんし、鮮度も最高のものが提供できますから。調理も含めて魚津で食べてもらうためにどうしたらいいのか考えていきたいですね。

また、日本では高齢化が進み、医療費が毎年増えています。魚といった食べ物などを中心に、バランスのいい食べ物を国民のみなさんに摂ってもらって、みなさんの健康に貢献できたらいいのですが。

 

魚津について感じていることなどありますか

 中学まで魚津にいて、それから就職を機に魚津に戻ってきましたが、正直、戻ってすぐには魚津のよさを感じることができなかったですね。魚の仕事を通して、魚津のことをずっと考えているうちに、いつしか魚津のよさに気がつきましたし、守っていきたいとも考えるようになりました。

単一市で海から山まで存在している点が魚津の大きな強みだと思います。その中で水が循環し、我々を育んでくれている。点ではなく線で、面で有機的に結びつけることができれば魚津を盛り上がることが可能ではないでしょうか。

そういった面で、片貝の山の幸と、片貝の水が流れ込んでいる海の幸のコラボを実現できれば、相乗効果がでます。

ただ、こういった仕掛けは、漁協単体ではなかなか難しいです。ぜひ行政に音頭をとってもらわなければならないと思います。

 

行政へ伝えることは他にもありますか

 コンシェルジュのようなサポートがほしいですね。問題が発生したとき、どこに相談するべきなのかを教えてくれるような感じでしょうか。漁協は漁協なりの情報を持っていますが、それは主に漁業についてです。それを補う形で情報を提供してほしいと思います。情報提供ができなくても、どこへ聞くべきなのか案内してくれるだけでずいぶんと助かると思います。

 

編集後記

 今回の取材では浜住参事の熱意がとても印象に残りました。特にコンビニ販売開始時のお話などは、話を聞いている我々も感激を覚えました。食材の品質が問われ続ける現代ですが、事業者の皆さんには、これからも消費者の心に訴えかける商品を提供し続けるべく頑張っていただきたいと率直に思いました。

 

  

魚津漁業協同組合ホームページ

www.jf-uozu.or.jp/

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uozusantaro

Author:uozusantaro
富山県魚津市の企業・産業を知ってもらいたいと感じている市職員グループです。

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